2024年07月10日

オーボエの成り立ちは?中世から現代までのオーボエの歴史を解説

オーボエの成り立ちは?中世から現代までのオーボエの歴史を解説

オーケストラにおいて欠かせないオーボエは、その美しい音色で人気があります。オーボエの成り立ちとその進化には、どのような歴史があるのでしょうか。

この記事では、オーボエの成り立ちについて解説しています。音楽について、とりわけオーボエについて知識を得たい方は、ぜひとも参考にしてみてください。

オーボエの起源

オーボエの起源のひとつに、トルコのズルナがあります。ズルナは、中東やバルカン半島で広く用いられる木管楽器です。この楽器は小型で円筒形の木製ボディを持ち、両端が細いという特徴もあります。音を出すためのダブルリードが特徴的で、オーボエとの類似点を持っています。オーボエの歴史において、ズルナは技術的な影響を与えたとされているのです。この楽器を通じて、オーボエの形状や演奏の技術がヨーロッパに伝わったと考えられています。

 

オーボエの誕生

ズルナがヨーロッパに広がり、やがてオーボエが生まれます。ここではオーボエの誕生について詳しく見ていきましょう。

17世紀のフランス

オーボエの誕生は17世紀のフランスに遡ります。この時期フランスでは宮廷音楽が花開き、新しい楽器の開発が盛んでした。オーボエはその中で生まれた楽器のひとつです。この楽器は、既存の木管楽器を基に改良されたものです。オーボエは、当時のフランス音楽に合わせた洗練された音色を持っていました。宮廷音楽において、オーボエは早期から重要な役割を果たすようになりました。

ショーム

オーボエの誕生には「ショーム」という楽器が深く関わっています。ショームは、オーボエの直接の先祖とされる中世ヨーロッパの楽器です。この楽器は木製でダブルリードを備えており、オーボエと似た構造を持っていました。オーボエはショームの構造を基に、17世紀のフランスで開発されたと考えられています。このショームからオーボエへの進化は、音楽史における重要な転換点です。

 

ドイツ式からフランス式へ

オーボエにはフランス式とドイツ式がありました。ここではどのようにして現在のオーボエが、世界に知られていったのかについて紹介します。

ドイツ式のオーボエ

ドイツ式のオーボエは、特有の音色と構造を持つ楽器です。このスタイルは、19世紀にドイツで発展しました。ドイツ式オーボエの特徴は、その暖かく深みのある音色にあります。構造面では、ドイツ式オーボエは比較的太く、独特な曲がりを持っています。またキイシステムもフランス式とは異なり、演奏者の手に合わせて調整されていました。これらの特徴により、ドイツ式オーボエは独特の演奏スタイルを持っていました。この楽器の設計と音色は、後にフランス式オーボエへの移行にも影響を与えたのです。

フランスでの画期的なメカニズム

フランスでのオーボエの進化には、画期的なメカニズムの導入がありました。19世紀のフランスで、オーボエは技術的な進化を遂げたのです。この進化の中心は、キイシステムの改良にあります。新しいキイシステムは、より精密で複雑な構造を持っており、オーボエの演奏性が大きく向上しました。また音域の拡大と音程の安定も実現されました。この時期のメカニズムの変革は、オーボエの進化において重要な節目となったのです。

コンセルヴァトワール式

コンセルヴァトワール式オーボエは、フランスのオーボエ製造と演奏の歴史において重要な位置を占めています。このスタイルは、19世紀のパリ音楽院(コンセルヴァトワール)で発展しました。コンセルヴァトワール式は、フランス式オーボエの一種で、その特徴は明瞭な音色と優れた音程の安定性です。このスタイルは、音楽院での教育と演奏に適した設計とされています。

またこのスタイルは、オーボエの国際的な標準として広く認められるようになりました。コンセルヴァトワール式の導入は、オーボエの演奏と製造における重要な進化であり、今日のオーボエの形状と演奏スタイルに大きな影響を与えました。

リヒャルト・シュトラウスの宣言

リヒャルト・シュトラウスの宣言は、フランス式オーボエの勢力拡大において重要な役割を果たしました。シュトラウスは、20世紀初頭のドイツの著名な作曲家兼指揮者です。彼はフランス式オーボエの優れた音色と表現力を高く評価しました。シュトラウスがこの楽器の持つ音楽的可能性を認めると、多くの楽団がフランス式オーボエを採用するようになりました。

この宣言は、オーボエにおける演奏のスタイルと製造の技術に画期的な影響を与えたといえます。この出来事は、フランス式オーボエが国際的な標準として認められる契機となりました。

 

まとめ

オーボエの歴史は古代エジプトの葦笛から始まり、多岐にわたる進化を遂げていきました。初期のオーボエはシンプルな構造で、時代と共に技術的な改良が加えられたのです。オーボエは長い歴史を通じてさまざまな文化や技術の影響を受け、今日の形へと進化してきたのです。

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